

山間の小学校でアンケートを取らせてもらいました。保護者が子どもに伝えたいことに「お金には限りがある。原則として働かねば手に入らない。」とわかりやすい言葉で書かれていました。
お金の教育とは、単に騙されないようにというだけではなく、自分で稼ぎ、生活していく「自立できること」が目標なのは確かです。稼ぐことから体験させることができれば、苦労して得た対価であるお金を大切に使うというのは、きっと伝えやすいことでしょう。しかしながら、働く体験、稼ぐ体験を実際に直接行わせたいと思っても難しいのが現状です。
稼ぎ方を学ばせられる地域とできない地域があるのもアンケートでわかります。
「アルバイトにしても良い作業は何ですか?」の質問に、兼業農家の家庭も多い地域では、自分たちの日常生活以外の作業、例えば、農作物の収穫作業と販売、いちごハウスでの手伝い、野菜の苗を植える、イベントに参加して自分たちで作った梅ジャム、クッキー、石鹸などを販売する、空き缶などを拾う、などが出ていました。親たちが認める仕事がある地域は、まだ幸せです。
中学校で導入されている仕事体験でも、「手間がかかる」と受け入れを好まない企業もあれば、「仕事なのだからと中学生に手当を払いたい」という企業もあり、その企業で体験できた子どもだけにお金を渡すこともできず、稼いでお金を得る実体験をさせることは難しい、と校長先生が話してくれました。
子どもたちには上手にお金を使えるようになって欲しいですが、これは実際のところ、どう使うのか親にはわかりません。教える親の判断が一番優れているとも限りません。まずは、子どもの性格をつかみ、次の対策を考えるのがいいようです。
「こづかい制度」は、子どもの性格が見えてきます。定額のこづかいに文房具代を入れるのとは別に、一工夫できることがあります。
例えば、時折必要になる高額の学用品。ランクがあるとすれば、シンプルな機能の商品金額を親が出し、それより高額な商品との差額は、子どもがこづかいから出すようにさせます。飾りがついていたり、ケースが良かったり、見た目のよさに惹かれます。見栄をはる子、使えればよいと安いものを選び、差額を貯金する子などいろいろです。
限りあるこづかいのやりくりの場合、出費が膨らむと、欲しいと思っているものを手に入れる時期が先に伸びてしまうことなど、子どもが自分で考え始めるチャンスが作り出せるのです。
消費の場面を金銭教育として捉えるならば、子ども自身が欲求を満たせるような、自分の判断でお金を使うことができる状況を作りたいものです。制限ばかりを課すだけでは子どもだって考える意欲も薄れてしまうでしょう。
親としては、時には、無駄と思えるものもそのまま買わせ、それでも腹を立てずにすむ方法を考えるといいのです。一工夫したいこづかいを使った金銭教育です。