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今月のテーマ『子宮頸がん〜予防ワクチン〜』

近年日本では、20〜30歳代女性の子宮頸がん発症率が増加傾向にあります。欧米を中心とした多くの国々では、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防できるワクチン接種がすでに行われていましたが、昨年日本でも承認され、医療機関での接種が開始されました。これにより、将来、子宮頸がんの発生を70%減少させることが期待されています。今回はこの予防ワクチンのことを中心にお話したいと思います。

子宮頸がんとは

子宮がんは、子宮頸部(入り口)にできる「子宮頸がん」と、子宮体部にできる「子宮体がん」に区別されます。子宮頸がんは、初期の頃は無症状のことが多く、不正出血やおりものの増加などに気づいたときには、すでに進行していたということも少なくありません。しかし、無症状のうちに定期検診などで早期発見できた場合は、完治の可能性が高くなります。

1.原因

HPVが子宮頸部に感染した場合、その中の一部でがんが発生します。

2.診断

頸部細胞診でクラス分類IIIa以上の場合にがんが疑われ、コルポスコピー(膣拡大鏡)や組織診で確定診断されます。(※細胞診はクラスI〜Vに分類されます。)

3.治療

進行状態や妊娠、出産希望があるかどうか等で治療方法が異なります。

進行状態は0期からIVb期まで細かく分類されています。がんが上皮内にとどまっている0期もしくは子宮頸部に限局し浸潤の深さや広がりも小さいIa1期であれば、子宮を温存し子宮頸部のがん部分だけを円錐状に切除する方法(円錐切除術)を、また、子宮頸部に限局しているIb1期で、大きさが2cm未満であれば、子宮体部を残し頸部のみを摘出する方法(広汎性子宮頸部摘出術)で行なうことができます。これらの手術なら術後、妊娠・出産が可能です。進行したがんは子宮を全摘出する必要があり、状態によっては放射線療法や化学療法が必要な場合もあります。

HPV(ヒトパピローマウイルス)とは

HPVは皮膚や粘膜に感染し、イボをつくることがあるごくありふれたウイルスで、100種類以上のタイプがあります。そのうち子宮頸がんに関連しているものがハイリスク型と呼ばれ、一般女性の30〜50%は生涯に一度は感染するとも言われています。感染したうちの90%は自然にウイルスが消滅、残りの10%以下が細胞に変化を起こし異型性の状態になります。異型性もほとんどは自然に治りますが、10%以下でがん化します。

1.ハイリスク型HPVの種類と検査

HPV−DNA検査で、ハイリスク型に分類される16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型の何れかに感染しているかどうかがわかります。なかでも16型と18型の2種類は、子宮頸がんを発症している20〜30代女性の70〜80%から見つかっています。検査方法は頸部細胞診と同様で、綿棒やブラシ状のもので子宮頸部から細胞をこすり取ります。ハイリスク型HPVに感染していることがわかれば、検診の間隔を短くするなどして慎重に経過観察することができます。なお、HPV−DNA検査に、健康保険は適応されていません。(2010年3月現在)

2.感染経路

主に性交渉によって子宮頸部に感染します。

3.免疫

HPVは自然感染するだけでは充分な免疫は得られません。感染の機会があれば繰り返し感染します。

子宮頸がんの予防ワクチン

2009年10月に、子宮頸がんの原因の70〜80%を占めるHPV16型と18型に対するワクチンが日本でも承認され、12月に「サーバリックス」として発売、すでに医療機関で自費での接種が開始されています。

1.効果

HPV16型と18型感染に起因する子宮頸がんおよびその前駆症状を、ほぼ完全に予防できることが臨床試験により証明されています。その他の型のHPV感染に対しての効果はなく、また感染した細胞を治療するものではありません。ワクチンの効果持続期間に関しては現在継続調査中ですが、約20年間は効果が持続すると推定されています。

2.接種対象

10歳以上の女性が対象です。感染の機会をもつ前に接種することが望ましく、第一に11〜14歳、第二に15〜45歳に接種が推奨されています。

3.接種方法

初回、初回から1ヶ月後、初回から6ヵ月後の合計3回、筋肉注射をします。

4.主な副反応

注射した部位の皮膚症状、吐き気や腹痛などの胃腸症状がみられることがあります。

5.費用

3回接種で約5万円前後となります。

※公費補助を決定した自治体も一部あります。(先進国の多くは公費負担で接種が行なわれています。)

おわりに

日本では現在、年間10,000人以上が新たに子宮頸がんに罹患し、約3,500人が死亡していると推定されています。子宮頸がんは女性の命はもちろんのこと、妊娠や出産の可能性を奪ってしまうことがある病気です。しかし、ワクチン接種によって予防が可能であり、また検診で早期発見された場合には完治可能な病気でもあります。子宮頸がんへの関心を持ち、1年に1度は検診を受ける習慣をつけ、またワクチン接種についても検討しましょう。

監修 : 順天堂大学医学部附属順天堂医院 小児外科 准教授 高橋 翼
参考文献 : 病気が見える9婦人科・乳腺外科 株式会社メディックメディア
臨床検査データブック2009-2010 医学書院

●T-PEC保健医療情報センター 発行

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