知っておきたい!健康と医療 今月のテーマ『認知症の始まりではないでしょうか。』
最近ちょっとした物忘れが多いと感じます。認知症の始まりではないでしょうか。
歳をとると誰もが人の名前をすぐに思い出せなくなったり、物をどこにしまったか忘れたりするものです。これは年齢相応の物忘れ(脳の老化によるもの)で、問題ないことがほとんどです。一方で、物忘れに比べて、認知症の場合は体験全体を忘れてしまう傾向があります。例えば、朝ごはんに何を食べたか思い出せないのは、物忘れ。朝ごはんを食べたこと(体験)自体を忘れてしまうのは、認知症が疑われます。こういった体験自体を忘れてしまうことは、ヒントがあっても思い出せず、さまざまなことを忘れてしまい、物忘れ自体の自覚がないことが、単なる物忘れとの違いになります。
認知症の中核症状は、以下の5つです。
①記憶障害
- 食事を摂ったことを忘れてしまう
- 財布や鍵など、物を置いた場所が分からなくなる
②見当識障害
- 今日が何月何日か分からない
- 何回も念を押しても外出時間に合わせて、準備が出来ない
- 季節感のない服を着る
③理解・判断力の障害
- 考えるスピードが遅くなる
- 観念的な事柄と、現実的、具体的な事柄が結びつかなくなる
例えば「倹約は大切」と言いながらセールスマンの口車にのって高価なものを複数買ってしまう
④実行機能障害
- 料理や買い物の段取りができなくなる
⑤感情表現の変化
- その場の状況が読めなくなるので、例えば「そんな馬鹿な!」と言った言葉を、誤って「自分が馬鹿にされた」と認識して、怒り出すなど、場にそぐわない感情表現をする
インターネットに、さまざまなチェックリストが掲載されています。
東京都作成のパンフレット「知って安心 認知症 認知症の人にやさしいまち 東京を目指して」の中に「自分でできる認知症気づきチェックリスト」が掲載されていますので、こういったものも活用できると良いかもしれません。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/torikumi/pamphlet/index.html
ご本人が日常生活に支障を感じたり、家族や同僚から上記のようなことを指摘されたりすることがあるようでしたら、認知症専門医のいる専門外来に受診することをお勧めします。
受診をためらう場合は、住んでいる町の「地域包括支援センター」で相談することもできます。
認知症は服薬をすることで、症状の進行をやわらげることも出来ます。気になるようでしたら早めに受診をして、医師に相談しましょう。
●東京海上日動メディカルサービス 発行