知っておきたい!健康と医療 今月のテーマ『薬をジュースやお茶で飲まない方がよいと聞きました。なぜでしょうか。』

薬の種類によっては、ジュース、お茶、牛乳などと一緒に飲むと、薬の‘吸収’や‘代謝’に影響をもたらし、お薬の効果に変化を及ぼすことがあります。

薬の効果が強くでてしまうことで副作用が生じやすくなったり、逆に効果が弱まり薬が効かずに、病状が悪化する恐れがあります。それを避けるために、基本的にコップ1杯程度の水またはぬるま湯で飲むようにいわれています。

薬と影響を及ぼす飲み物との飲み合わせの具体例として、以下のようなものがあります。

1.グレープフルーツジュースと一緒に飲むことに注意が必要な薬

血圧を下げる薬のジヒドロピリジン系カルシウム(Ca)拮抗薬という種類の薬は、グレープフルーツジュースと一緒に飲むと、薬の血中濃度が上昇し、血圧が下がり過ぎてしまうことがあり危険です。また、薬が効き過ぎることで、頭痛や顔のほてりのような副作用が生じやすくなります。これは、グレープフルーツの特定の物質によって、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の成分が体に溜まりやすくなることが原因と考えられています。

2.タンニンが含まれている飲み物と一緒に飲むことに注意が必要な薬

貧血治療薬の鉄剤はタンニンと結合すると、吸収が妨げられ、薬の効果が弱まることがあります。タンニンが含まれている飲み物としては、緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーヒー、ワインなどがありますので注意が必要です。

3.カフェインが含まれている飲み物と一緒に飲むことに注意が必要な薬

テオフィリン系の喘息治療薬や強心薬は、カフェインによって、薬の効果が強められ、頭痛や嘔吐などの副作用が生じやすくなることがあります。カフェインが含まれている飲み物としては、緑茶や紅茶、コーヒー、栄養ドリンクなどがあります。

4.牛乳と一緒に飲むことに注意が必要な薬

テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬、一部の骨粗しょう症治療薬などは、牛乳に含まれるカルシウムと結合すると、薬の吸収が悪くなり、結果、薬の効果が弱まることがあります。
また、腸溶性製剤(腸で溶けて効果を発揮するタイプの薬)は、牛乳が胃酸と中和することで、薬のコーティングが壊され、胃の中で溶けてしまうこともあります。その結果、本来の薬の効果が得られないこともあります。

今まで列挙したもの以外に、アルコール飲料や青汁なども、特定の薬と一緒に飲むことで薬の効果に重大な影響を及ぼすものがあります。

ご自身の処方薬との飲み合わせについては、主治医や薬剤師にお問い合わせください。

●東京海上日動メディカルサービス 発行

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