知っておきたい!健康と医療 今月のテーマ『熱中症予防に水分補給がすすめられていますが、どうしてですか。どのような飲み物を、どのくらいの量を飲んだらよいのですか。』

日本の夏季は、地球温暖化や都市部のヒートアイランド現象などにより、熱中症になる危険性が高まります。熱中症による死亡者数は増加傾向となっていますので、予防対策を考えておきましょう。
熱中症予防のために最も重要なのは、適切な水分摂取です。
成人の場合、体重の約60%は水分でできており、その水分には普通の「水」ではなく、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質が一定の濃度で含まれています。電解質は、細胞の水分量を適切に保ち、筋肉細胞や神経細胞の働きに関わるなど、身体にとって重要な役割を果たしています。熱中症が原因で電解質濃度を適切に保つことができなければ、細胞や臓器の機能が低下し、重篤な場合は命にかかわることもあります。
子どもと高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。

一般的には、1日に体から出ていく水分は約2.5ℓ(尿から1.5ℓ、便から0.1ℓ、皮膚や呼吸から0.9ℓ)といわれていますので、少なくともその分は補う必要があります。といっても、失われる「2.5ℓ」分を全て飲み物で補う必要はありません。食事などからも水分を補えるため、飲み物で摂取する水分量は、1.2ℓ程度を目安とされるとよいでしょう。
熱中症になった場合は、水分とともに多くの電解質が失われているため、市販の経口補水液やスポーツ飲料、あるいは家庭で食塩水(水1ℓ+食塩1~2g)などで、効率的に水分補給をおこなう必要があります。ただし、飲む量は、年齢やその時の状況によって異なります。

熱中症予防のための水分の摂り方のポイント

  1. 1のどが渇く前に、こまめに水分補給する(のどの渇きは脱水が始まっているサイン)
  2. 2アルコールや多量のカフェインを含む飲料は「水分」として補給しない(利尿作用があるため)
  3. 3起床時、入浴前後にも水分補給する(睡眠時、入浴時も汗をかいています)
  4. 41日あたり、1.2ℓの水分補給を心がける
  5. 5屋外での運動や作業をする場合は、作業前・作業中(20~30分毎)・作業後(30分以内)に水分・塩分を補給する

水分補給以外にも、以下のことを心がけましょう

  • 暑い日には、外出を控える
  • 冷房を積極的に使用して室温をほぼ28℃前後に保つようにする
  • 風通しのよい、ゆったりとした衣類を着用し、やむを得ず外出する際は日傘や帽子を使う
  • 参考:環境省「熱中症環境保健マニュアル」

●東京海上日動メディカルサービス 発行

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