発掘!お金の話

詳細はこちら 資料請求・ご加入に関するお問い合わせ 0120-497-775

第2回 金属貨幣の誕生

日本最初の貨幣とは?〜教科書を書きかえた富本銭の発見

物品貨幣から金属貨幣へ

お金がまだなかった頃、人々は矢じりや貝などの物品貨幣(ぶっぴんかへい)とよばれるものを使っていた。だが、経済が発展し、交流の範囲も広がってくると、物品貨幣だけでは不便になってくる。加工ができて、どこの地域でも価値を持つ、そんなものが必要になってくるからだ。そこで、登場するのが、金・銀・銅などを用いた金属貨幣だ。

エレクトロン貨

紀元前7世紀頃、現在のトルコであるリディアで「エレクトロン貨」とよばれる貨幣が登場した。小粒の合金に、動物や人物などの文様が打ち込まれたもので、世界最古のコインとされている。

「エレクトロン(electron)」とはなにやら近代的な響きだが、ギリシャ語で琥珀を意味する言葉だ。金と銀の天然合金によるエレクトロン貨の色が、琥珀に似ていることから名づけられた。ちなみに、琥珀を摩擦すると静電気が発生する。このことから、イギリスのウイリアム・ギルバートは1600年頃に電気を「エレクトリック」と名づけている。同じ琥珀に由来する命名だが、エレクトロン貨の方が先輩という訳だ。

このエレクトロン貨のように金属に文様を打ち込んでいく様式は、西洋のコイン、すなわち鍛造(たんぞう)貨幣へと引き継がれていくことになる。

中国の貨幣

中国では、紀元前770年頃の周の時代に、農具や工具をかたどったと思われる「布幣(ふへい)」や「刀弊(とうへい)」が現れた。ともに、青銅で作られた青銅貨だ。魚の形をした「魚弊(ぎょへい)」というのもあるが、こちらは貨幣ではなく、墓などに埋葬される副葬品だと考えられている。

やがて中国では、鋳型でかたどった鋳造貨幣が作られるようになる。円の中央に丸い穴があいている円形円孔貨(えんけいえんこうか)や、中央に四角い穴があいている円形方孔貨(えんけいほうこうか)などだ。

これらの貨幣は各地でばらばらに使われていたが、紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝が「半両銭(はんりょうせん)」を発行し、円形方孔貨に統一した。この形が以後受け継がれることになる。

これらの貨幣は各地でばらばらに使われていたが、紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝が「半両銭(はんりょうせん)」を発行し、円形方孔貨に統一した。この形が以後受け継がれることになる。

日本最初の貨幣

さて、やっと日本の貨幣の登場となるのだが、ここで大きな問題が生じてくる。日本の最初の貨幣は何か、という問題だ。ひと昔前ならば、答えは常識的で簡単なものだった。「和同開珎(わどうかいちん・わどうかいほう)」と答えればよかったのだ。しかし、歴史というのは覆るもの。1999年に、奈良県明日香村の飛鳥池遺跡で「富本銭(ふほんせん)」という銅銭が発掘されたことが発表されると、事情は大きく変わってきた。

この富本銭、実は江戸時代からその存在自体は知られており、当時の貨幣図録などでも紹介されている。しかし、以前は江戸時代頃に作られた縁起物の絵銭や、まじない用の厭勝銭(えんしょうせん)の類だと考えられていたのだ。

ところが、1969年と1985年に平城京跡から、1991年にはさらに古い藤原京跡から発見され、その年代がどんどんさかのぼっていった。そしてついに、飛鳥池遺跡での発掘となり、和銅元年(708年)に作られたとされる和同開珎より古い、7世紀後半のものと判明したのだった。

では、日本最初の貨幣は富本銭なのかというと、話はそう簡単にはいかない。富本銭は、貨幣ではなくやはり厭勝銭だという考えもあるのだ。また、富本銭より古い「無紋銀銭」の存在も知られている。この銀の円板状の無紋銀銭を貨幣と考える見解もあり、そうだとすると無紋銀銭が最古の貨幣ということになるだろう。さらに、無紋銀銭については九州王朝の貨幣だという説もある。

ここまで来ると、もはや単なるお金の話ではない。貨幣の歴史を追及するほどに、古代日本の謎と浪漫に引き込まれていくことになる。古代の貨幣については、いまだ未解明なことも多く、富本銭の例に見られるように、歴史が書き替えられる可能性をも秘めている。これからの発掘・研究が待たれる分野といえるだろう。

参考資料

  • 日本銀行金融研究所貨幣博物館 配布資料
  • 日本古代史大辞典(大和書房)
  • 歴博フォーラム お金の不思議 貨幣の歴史学(小学館)
  • 新古代学の扉ホームページ
  • 京都国立博物館ホームページ
  • 東京電力ホームページ
  • 奈良県文化財研究所ホームページ
  • 桜井市公式ホームページ...ほか

※記事内容はとくに記述のあるものを除いて、2006年4月26日現在のものです。

このページの先頭にもどる

保障内容、変更、共済金請求などのお問い合わせ

CO・OP共済「ご意見・ご要望」の窓口

ご加入手続きのながれ

加入者インタビュー