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第5回 「お札」のはじまりと「偽札」攻防戦

〜お札のはじまりは偽札づくりのはじまりでもあった〜

日本で最初の「お札」

紙幣として日本で最初に発行されたのは、1600年頃に伊勢山田地方(現在の三重県伊勢市)で流通し始めた「山田羽書(やまだはがき)」であるというのが定説だ。これは中国(990年頃、北宋で世界最初の紙幣誕生)に次いで古く、「羽書」の由来は、羽が生えたように速やかに流通するようにという願いであるとか、秤量(ひょうりょう)貨幣のつり銭、つまり「端数の書付」という意味ともいわれている。

当時は、秤量貨幣(必要な目方だけ切って使用する金属貨幣)が使われており、伊勢神宮の神官で商人も兼ねていた御師(おんし)達が、そのつり銭の代わりとして、発行したのがはじまりだ。羽書と引き換えに銀を渡すことを約束した、いわゆる約束手形・預り証であったと考えられている。「山田羽書」は、発行限度や引換準備金の管理を堅実に行ったので信用が高く、また伊勢神宮信仰にも支えられ、単なる預かり証から、次第に人々の間で流通する紙幣としての役割を果たしていった。

このように、それ自体には価値のないただの紙である「紙幣」に「金属貨幣」との引き換え機能をもたせることでお金としての価値が生まれ、実際に人々の高い信用を得てお金として流通していったのだ。

江戸時代、多くの藩で発行された「藩札」

江戸時代寛文期(1661〜73)より、通用を藩内に限定した「藩札」の発行が各藩で始まった。発行の理由には、逼迫する藩財政への補填や、領内の幕府発行貨幣(金、銀、銭貨)の不足解消などがあり、幕府の許可の下、幕府発行貨幣との引き換えを前提に発行された。

藩札は、幕府から使用禁止命令が出たり、十分な引換準備金のないまま濫発されることが多く、藩札の効力停止や通用価値の切り下げのたびに、領民は多大な被害を受けた。例えば、紀州和歌山藩では、1707年の幕府による藩札発行禁止令の際、流通していた藩札の2割しか幕府発行貨幣に引き換えらず、「千早振る紙札きかずたった二分、かねくれないに下困るとは」という領民の作った歌が残されている。

ちなみに、「藩」という言葉が使われるようになったのは明治元年からなので、当時は「藩札」という呼び方はなく、「札(ふだ)」「羽書(はがき)」「銀札」などと呼ばれていた。

赤穂藩札
赤穂藩では1701年の取り潰しの際、藩内の「赤穂藩札」を幕府発行貨幣と引き換えるかどうかが検討された。この時家老であった大石内蔵助が、札奉行との交渉を重ね、流通中の「赤穂藩札」12,000両(金貨換算)のうち7,000両を引き換えることに成功。藩札引き換えシーンは忠臣蔵の一場面として残り、今日まで称えられている。

用紙づくりや印刷は藩の厳重な管理下で実施

金属貨幣と比べて、紙幣は「発行しやすい」反面、「偽造しやすい」のが弱点だ。日本最初の紙幣「山田羽書」にもさっそく「偽札」が登場した記録が残っている。「藩札」においても、各藩で必死の「偽造防止策」が行われ、偽札をつくった者は厳しく罰せられた。

まず、偽札防止策はその紙づくりからはじまっている。藩札用紙の作成は、特定の紙漉き村の職人集団に委嘱されることが多く、中でも、越前国五箇村(ごかむら)が有名である。機密保持と技術流出を防ぐため、同村では、紙屋衆(かみやしゅう)が役所に血判書付の誓約書を提出した記録があり、また、他国の者との婚姻や他国からの奉公人の採用を禁止したという。藩札の印刷に使われる版木は組み立て式で、権限外発行を抑えるため、複数の役人が分割して持ち、印刷する際に持ち寄った。

このような厳重な管理にもかかわらず、藩札偽造は跡をたたなかったようだ。さらに、藩札のデザインには様々な工夫が加えられた。例えば、簡単に模倣できないオランダ語や梵字(ぼんじ)などの特殊文字を印字したり、色やすかしを入れたり、文字や図柄を組み合わせたり・・。「偽造者糺」(偽造する者糺す)の4文字を紙幣に大きく印字するという分かりやすい藩札もあった。

藩札の発行は、1707年から1730年までの間一時禁止されたが、その後再び解禁され、明治維新に新政府によって廃止されるまで、様々な藩で発行され続けた。明治4年の調査では、全国の約8割にあたる244もの藩で藩札が発行されたことが確認されている。

現在の偽造防止技術

現在においても、偽札の発見枚数は増え続けている。2001年の秋頃から精巧な偽札の発生が急速に広まり、1998年には1年間で807枚だった発見枚数が、2004年には3万枚近くまで増加した。最近では、自動販売機などに誤認させる「機械狙い」の偽造の傾向が目立つ。

こうした偽造の急増を背景に、2004年11月に新しく発行された最新の日本銀行券には、「ホログラム」「すき入れバーパターン」などの新技術が投入された。今や日本の偽造防止技術は世界トップレベルといえる。手持ちの紙幣で実際に試してみると、その精度の高さが実感できるだろう。

主な偽造防止技術の比較 ○搭載 ×未搭載
2004年11月発行の新日本銀行券 旧デザイン(1984年発行)の日本銀行券 ドル ユーロ
ホログラム × ×
すき入れバーパターン × ×
潜像模様 × × ×
潜像パール模様 × × ×
マイクロ文字
特殊発行インキ

注:ホログラムは新一万円券と新五千円券に搭載。新千円券には潜像パール模様を搭載。
出所:日本銀行発券局制作パンフレット『新しい日本銀行券の偽造防止技術』

参考資料

  • 日本銀行金融研究所貨幣博物館 展示および配布資料
  • 日本放送出版協会「贋札の世界史」植村峻
  • 東京堂出版「日本史小百科<貨幣>」瀧澤武雄・西脇康 編
  • (WEBサイト)貨幣博物館ホームページ
  • (WEBサイト)日本銀行ホームページ
  • (WEBサイト)学研サイエンスキッズ
  • (WEBサイト)お札と切手の博物館

ほか

※記事内容はとくに記述のあるものを除いて、2006年8月8日現在のものです。

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