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第17回 金銭教育はキャリア教育 生涯にわたり影響を与える考え方

 お金の教育は、「どのように生きていくか」を抜きにして話はできません。米国の組織心理学者のエドガー・H・シャインによって提唱された「キャリアアンカー」という理論があります。彼によると、キャリア・アンカーとは「ある人が自らのキャリアを選択する際に、犠牲にしたくない価値観や欲求、動機、能力などを指し、一度形成されると変化しにくく、生涯にわたってその人の重要な意思決定に影響を与え続ける」とされています。

 私のキャリアアンカーとなりそうな言葉は「命を大切にする生き方」です。振り返れば、看護師時代に多くの方の最期を看取った経験から、形成されたように思います。今、子どもたちと保護者にお金の教育を通して命を大切にすることを意識してもらいたいと考え、金銭教育を仕事にしています。

キャリア教育はいつから始める?

 キャリア教育という言葉が公文書で初めて使用されたのが、1999年の中央教育審議会答申で、それから約15年経過した今、小学校の先生からはこんな言葉が飛び出します。「お金の教育だけではなく、キャリア教育をしなさいと言われているのですが、よくわからんのですよ」。本音だと思います。キャリア教育に昔の進路指導のイメージをもたれていることも多く、小学校、中学校では、まだまだ上の学校への進学に焦点があてられています。キャリアを「仕事・職業」という狭い意味ではなく「生涯・経歴」と捉えるならば、学校を出てからの社会人、職業人としての過ごし方、そして生涯を通した生き方を考え、選ぶ力を身につけさせる教育に変わってくるはずです。

 私の金銭教育のスタートは2002年で、新卒者にとっては就職超氷河期でありフリーターとニートの問題解決を探っていた大変厳しい時期でした。また、世の中のトラブルも金銭がらみが非常に多く、これらの社会問題に対して私に何ができるかを考えた結果、「子どものころからのお金の教育」の必要性を感じ、動き出しました。当初、小学生の教育からスタートし、今は、幼児期からの教育に力を入れています。キャリア教育は幼児期から始まっていると考えています。

教育費へのお金の配分

 使えるお金が限られている一般の家計では、どの時点で何にいくら使うかという配分には、家族ごとに考える優先順位が影響しています。金銭教育は親のお金の使い方を見せることでもあるので、もっと子どもの教育に使っているお金の話をしてもらいたいものです。マネーじゅくがお受けする家計相談には、大学進学時の教育費捻出が厳しいケースが見受けられます。教育ローンと奨学金を使って進学をさせ、学歴があれば就職は何とかなるだろうという安易な考えを持つ親には、確実な就職は約束されていない時代が続いているだろうこと、ローンも奨学金も、必ず返済が必要な負債であることを伝えています。子どものころから家計の話ができれば、学びたい子どもは親に希望を伝え、家計が大丈夫なら安心して進学先を考えるでしょう。厳しい家計の環境なら、目指す先の絞り込みや返済不要な奨学金を得るためにがんばるなど、それなりの努力をします。学校での学びを得意としていない子は、就職など自分の将来の方向性を自分で考えるようになります。親の指示ではなく、自分で選ぶ力を身につけさせることも、家庭での金銭教育の目指すところです。

 米国の実業家、鉄鋼王カーネギーの言葉に「職業はなんでもいい、ただ第一人者たるを心掛けよ」とあります。今の日本の多くの青年を見て、体験が少ないことに不安を覚えます。きつい仕事、汚れる労働をしたがりません。家事も外での作業も実際に体で知っておくことはとても大事なことです。アピールが上手で就職しても、こんなことをさせられるとは思わなかったと辞めていくことは、本人にも社会にとっても浪費的行動です。どんなことでもとことんやってみる体験、そしてそこから得る満足感、充実感を次への挑戦に代えていくエネルギーにする経験が少ないのではないでしょうか。子どもたちが体験不足で社会に出る現状は、家庭、学校、地域の協働がなければ改善できそうにありません。

日々の選択がキャリアデザインを書き換える

 米国のキャリア研究者ドナルド・E・スーパーは、「キャリアは生涯を通じて発達する」という理論を発表しています。人生全般にわたり、社会や家庭で7〜9種類の役割の経験を積み重ねて初めて自身のキャリアが形成されていくそうです。つまり、学生時代だけでなく、子育て中でも孫を育てる年代になっても、日々学ぶことや生き方を選択し続けることが、キャリアを積み上げ、書き換えながら生きていくことになるのです。そう考えるとキャリア教育という言葉は、今を生きるすべての人が意識できることです。自分のこれからのキャリアを主体的にデザインしていくことは、人生を充実したものにする、とても面白いことだと気づきます。

 今、マネーじゅくでは進路指導、職業選択ではない、道具としてのお金を前面に出したキャリア教育を展開しています。全国での金銭教育の実践から見えている子どもの自立への課題は、子どもより大人にあります。子どもには、自分の行動を内省する習慣を身につけさせ、自分の考えを持ち、表現することができるようにプログラムづくりをしています。保護者には、子離れできないケースが増えているように感じるため、子どもを信じて、管理することをやめれば、見守りながら成長を楽しみ、子離れしていくことができる、ということを伝えているところです。

◆ファイナンシャルエデュケーター
金銭教育総合研究所 マネーじゅく代表 陣内 恭子

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