

2014年4月から消費税が8%に引き上げられました。そこで、奇数月にアップするコラムでは「消費税に負けない!家計改善相談室」をテーマに、年代ごとの家計の悩みにFPが答えていきます。今回は40代子育て家庭のお悩みです。
<Sさん一家 プロフィール>
夫49歳 会社員 年収750万円
妻47歳 会社員 年収480万円
子ども 長男は18歳、私立大学1年生。次男は16歳、公立高校1年生。
貯蓄額700万円
妻「昨年は両方の子どもが受験で本当に大変でした。今年に入っても受験料や入学金などの支払いでお金がかかり、貯蓄も一気に取り崩してしまいました。」
夫「これまでは、それなりに生活できていたのに、今年から緊縮財政でお小遣いも減らされましたよ(苦笑)」
妻「今までが自由すぎたのよ。共働きなので何とかなっていましたけど、これからはどうなるのだろうかと不安です。」
FP「確かにお子様が同時に進学となると家計の負担は大きいですね。今後、下のお子様が学校を卒業する22歳までの7年間は教育費の山場です。そこで、毎年貯蓄していた金額と、これまでの貯蓄を取り崩す額をあわせて、どのくらい準備できるのか試算しておきましょう。」
夫「そういえば、長男の友人の家庭では結構奨学金を利用していました。今年はなんとかなりましたが、来年はうちも検討しないといけないのかな。」
FP「奨学金は子どもに教育のチャンスが広がる反面、子どもの負債となって残るものです。安易な利用はおすすめできません。この収支表で進学にかかるお金を把握してから、計画的に考えてください。」
表教育費収支表
妻「貯蓄はできないものの、なんとか奨学金なしでいけそうだわ。私もこれから一層仕事もがんばらないと・・・。」
FP「ご主人ももちろんですが、奥様の働きがあってこそお子様の進路の幅と可能性を拡げることができます。
ここからは家族の役割を明確にして助け合いながら乗り切りましょう。これまで奥様が主に負担していた家事やお子様の身の回りのお世話を、できるだけ各自でやっていただくようにしてはいかがでしょうか。」
表 家族のこれまでの役割とこれからの役割
妻「主人は決まった家事はやってくれますが、子どものことは全部私なので、むしろ、私の子離れが必要かな。」
夫「彼女の収入があって助かっていますし、子どもと今後の役割を話し合ってみます。」
FP「家族が同じ目標で結束すれば、ピンチの時も乗り切れますね。」
FP「今回の教育費の収支表には年間150万円の貯蓄が可能と記載しましたが、この数字は達成可能ですか。」
妻「積立やボーナスの貯蓄がだいたいそのくらいです。でも、なんだかんだ引き出してしまうので、実際にはもっと少ないかもしれません。」
FP「今後は年間貯蓄目標額を150万円だと意識して、この金額は必ず貯めるようにしてください。貯めながら取り崩すのが教育費ですが、出入りするお金をきちんと把握すれば不安に陥ることはありません。
Sさんの家計は夫婦2人で手取りの収入が990万円程度あります。生活費を月50万円使ったとしても390万円 残る計算です。このピンチをきっかけに家計費を見直してみましょう。できれば170万円〜200万円まで年間貯蓄額を増やしていくのが望ましいですね。今回の収支表はあくまで学費だけをカウントしていますが、下のお子様が県外の学校に通われるなど進路に変更があれば教育費は更にかかるからです。」
夫「教育費が大変なのはわかるけど、今後7年もほぼ貯蓄ができない状態っていうのはショックだなぁ。
実は、僕は55歳で役職定年になるため、給料が下がる見込みです。それまでに老後の準備もしたいところだけど難しいですか。」
FP「下のお子様の大学卒業時、ご主人は56歳です。その時期には教育費負担はなくなります。そこから、60歳までの4年間で集中してお金を貯める期間がありますよ。55歳で給料が下がっても、貯蓄は可能です。
56歳の時点で学費を支払う前の貯蓄水準に戻りますから、そこからの巻き返しを意識しましょう。」
妻「やるべきことがわかってすっきりしました。まずは、主人のお小遣いをもう1万円下げることにします。」
夫「えっ!」
妻「うそうそ(笑)」
FP「ご夫婦の仲の良さもピンチを乗り切る大切な秘訣です。Sさんのお宅は大丈夫そうですね。(笑)」
◆株式会社ライフアンドマネークリニック
波多間純子
プロフィール
CFP®。「お金しだい」の人生から「自分しだい」の人生へ選択できる人生に導くワーク・カウンセリングを実施。お金のコンサルティング会社「ライフ&マネークリニック」および実行支援会社「ライフ&マネーフォーチュニット(=幸運な人・財産の意味)」を経営。相談窓口ひとつで計画から実行までをサポート。関わった人すべての安心、豊かさをカタチにする。実務で培ったノウハウを生かし「わかりやすく、おもしろく、ためになる」講演・執筆で精力的に活動。女性と母の目線で厳しい時代を乗り切るお金と人生の関わりを指南。