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今月のテーマ『ひざの痛み』

「階段の上り下りをするときに膝が痛い。」「膝を曲げる時、正座をする時に膝が痛い。」という方は多いのではないでしょうか。中高年になると増える症状のひとつが、膝の痛みです。膝の痛みの原因は、主に変形性膝関節症によって起こります。日本人の約1000万人の方が、この病気で悩んでいると言われています。膝に痛みを抱えていると、歩く事がおっくうになり生活の質まで下げてしまいます。

今回は、変形性膝関節症とひざの痛みを悪化させない生活についてお話しましょう。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症の原因は、加齢や肥満、筋力の低下等の原因によって、膝関節のクッションの役目をする関節軟骨が擦り減ってしまい、骨同士が直接擦れてしまう事で炎症が起きたり、関節が変形して水がたまったりして、痛みが生じる病気です。男性より、女性の方が多いと言われています。

女性に多い理由として、女性は閉経後急激に太りやすいこと、もともと男性より膝関節を支える筋力が弱いこと、膝と膝の間に隙間ができるO脚の方が多いことがあげられます。

その他、スポーツ選手や職業柄しゃがんだりする動作の多い方、半月板や靭帯を怪我した経験のある方は、変形性膝関節症になりやすいとされています。

医療機関で行う変形性膝関節症の治療について

治療法には、保存療法と手術療法の2つがあります。

保存療法とは、a.薬物療法、b.運動療法、c.物理療法、d.補助具の活用があり、組み合わせて行われます。

  1. 薬物療法:炎症を抑えるため、非ステロイド系の消炎鎮痛剤配合の外用薬(シップや塗り薬)や内服薬、座薬を使用します。また、炎症が強く膝に水がたまっている状態の時は、注射器で水を抜き、ヒアルロン酸を注射する事があります。ヒアルロン酸は、人間の体に含まれている成分で、特に膝では関節のすべりを良くし、軟骨に栄養を与える働きがあります。
  2. 運動療法:膝の痛みを軽減させるためには適度な運動が必要です。ただし、炎症が強く膝に水がたまっているようなときは控えましょう。

    運動メニュー

    1. 太ももの筋力アップ :膝への負担を少なくするために、体重を支えている大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)をきたえて強くするトレーニングです。
      方法 1) (1)椅子(ダイニング用)に腰掛ける。(2)片足の膝を伸ばし、椅子の高さくらいに足を上げて10秒間保持する。(3)足を静かに下ろして3〜5秒休み、20回繰り返す。(4)もう一方の足も同様に20回行う。
      方法 2) (1)畳(もしくは床)の上に仰向けに寝る。(2)膝を伸ばしたまま片足をゆっくり上げる。(3)畳から10cm位のところまで上げたら5秒間止める。(4)ゆっくり足を下ろして3〜5秒休み、20回繰り返す。(5)もう一方の足も同様に20回行う。
    2. お風呂でのストレッチ:温まると血行が良くなるため、膝の痛みが和らぎ関節も曲がりやすくなります。
      方法) (1)浴槽の縁をつかんで立つ。(2)縁をつかんだ状態で膝を少しずつ曲げる。(3)痛みが出ない程度まで曲げたところで10秒間止める。(4)縁をつかんでゆっくりと立ち上がる。(5)膝に手を当てて膝が伸びきるように10回押す。(6)2回繰り返して行う。
    3. 歩行習慣 :ウォーキングは、膝に痛みが強く長い距離を歩く事が出来ない場合も、無理せず行える、最も安全で手軽な治療法です。歩いている途中で痛みが出たら、すぐに中止して、翌日は距離を短くし、痛みが出ないようなら、スピードを少し上げるか距離を長くしてみましょう。また、水中ウォーキングも浮力を使って、膝への負担を少なくさせ筋肉を鍛えることが出来ます。
  3. 物理療法:炎症は治まっても痛みだけがまだ残っている慢性期の状態の時には、温熱療法(ホットパック)や電気治療などを行って血行を促し、痛みを軽減させます。
  4. 補助具の活用:ドラッグストア等でも購入できる膝サポーターは、冷房からくる冷えを防止してくれます。また整形外科では、保温用の膝サポーターの他に、膝を安定させるための金属やプラスチックが入ったサポーターや0脚を改善させる足底板も処方してくれます。杖も正しく使用すれば、歩行が大変楽になり、痛みを軽減させることが出来ます。

手術療法は、関節の磨耗が激しく変形が進行している場合や、痛みが非常に強くて保存療法を行うことが難しい場合に行います。

手術の方法は、膝の中に内視鏡を入れて行う関節鏡下手術と、変形した関節の表面を金属などで出来た人工関節に取り替える人工関節全置換術、0脚に変形した足の脛骨を切って矯正し、膝の内側にかかる負担を軽減させる高位脛骨骨切り術があります。

膝の痛みを悪化させない生活を

変形性膝関節症は、加齢だけの問題ではなく生活習慣も大きく影響します。生活習慣を見直すことで膝の痛みの悪化防止に繋がります。

  1. 体重をコントロールしましょう。
    体重が1kg増えると、歩く時の膝の負担は約2〜3kg、走るときは約8kgも余計にかかると言われています。体重が増えないように栄養バランスの良い食事や間食、アルコールを控えるよう心がけましょう。
  2. 普段の動作を見直しましょう。
    和式の生活は、日本の古くからある大切な様式ですが、床に座ったり、立ち上がったりする事が多いため、膝には大変負担がかかります。例えば、畳には座らず椅子に腰掛ける、寝具は布団ではなくベッドにする、和式トイレを洋式トイレに替えるだけでもずいぶん負担を減らす事が出来ます。また、外出時に重い荷物を一方の肩や腕にかけていると、重心が偏ってしまい片側の膝だけ痛めてしまいます。時々荷物を持ち替えて、膝の負担を軽減させるのも必要です。
  3. 運動療法を行いましょう。
    治療の項でもお話しましたが、太ももの筋力アップやストレッチ、ウォーキングは行っていきましょう。また、お風呂の中でストレッチングを行うと、膝の拘縮(固くなること)の予防や、血行が良くなり痛みが緩和されます。入浴できない場合は、温めたタオルを膝に当ててラップなどで温めるだけでも効果があります。

日本人の多くの方が、膝の痛みに悩まされています。普段の生活をほんの少し見直すことで、膝への負担が大きく変わってきます。ここでご紹介した内容を参考に行ってみてください。ただし、膝が腫れていて痛む時は、我慢しないで整形外科を受診して適切な治療を受けましょう。

参考文献 標準整形外科学  医学書院
ひざの痛み  高橋書店
変形性膝関節症の運動生活ガイド  日本医事新報
監修 順天堂大学医学部附属順天堂医院  小児外科 岡崎 任晴

情報提供:T−PEC保健医療情報センター

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