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第3回 和同開珎の謎と古代貨幣の行方

和同開珎はあまり使われなかった?!

和同開珎とは

今回は、「和同開珎」を中心に、日本の初期の貨幣についてみていこう。和同開珎は、西暦708年(和銅元年)、元明天皇の時代に発行されたとされている。「続日本紀(しょくにほんぎ)」に、708年に武蔵国秩父(現在の埼玉県)から「和銅」(純度の高い自然銅)が献上され、年号を「和銅」に改めて「銅銭」を発行したという記述があるからだ。日本各地で発掘されるほか、中国の長安や渤海の遺跡からも発見されている。日本のお金の歴史を知る上で、非常に重要な貨幣といえる。

珍宝論争

この和同開珎、まずその読み方からして争いがある。「わどうかいちん」か、それとも「わどうかいほう」か、という争いだ。江戸時代から続く議論であり、「珍宝論争(ちんぽうろんそう)」といわれている。

「かいほう」説は、「和同開珎」の「珎」を「寳(宝)」の略字だとし、「かいちん」説は、「珎」を宝の意味を持つ「珍」の別字とする説だ。

この争い、当時の資料などにより、現在では「かいちん」説が主流となっている。一般的な出版物をみても、「わどうかいちん(ほう)」というように、「ちん」の後に「(ほう)」としているものが多い。「わどうかいほう」と学校で習った記憶のある人も多いだろうが、歴史辞典などでは「わどうかいちん」で調べる必要がある。ちょっと注意しておこう。

使われなかった和同開珎と、その後の皇朝十二銭

このような和同開珎だが、当初はあまり使われなかった。当時、奈良時代の日本ではまだ貨幣の使用が根づいていなかったのだ。そこで政府は、貨幣の流通を促す策にでる。官吏の給料を貨幣で支給し、税も貨幣で納めさせ、水田の売買も貨幣ですることにした。

710年の平城京遷都の翌711年には、貨幣をためて納めた者を昇進させるという「蓄銭叙位法(ちくせんじょいのほう)」を発布。貯蓄をしたところでささやかな利子しかつかない現代にいたっては、なんとも不思議な法令だ。しかし、お金をため込んでしまってはかえって流通しなくなる。特に、地方でお金をためたことで、畿内での流通が阻害される結果となった。そのため、この蓄銭叙位法はやがて廃止されている。蓄銭叙位法発布当時を描いた少女コミックに、里中満智子「長屋王残照記(全3巻)」がある。興味のある方は、マンガで当時の律令国家の様子を知るのも面白いと思う。

流通の他にも問題はある。民間で鋳造された私鋳銭の横行だ。この私鋳銭が出回ったため、和同開珎の価値が下がってしまった。そのような事情もあり、政府は760年に「万年通宝」を発行。以後、12種類の銅銭が発行され、これらは朝廷が発行した貨幣という意味で「皇朝十二銭」といわれている。

なお、万年通宝が発行された際、「太平元宝」という銀銭と、「開基勝宝」という金銭も発行された。この「開基勝宝」は日本最初の金貨とされ、現在では重要文化財に指定されている。

皇朝十二銭

  • 和同開珎(708年)
  • 万年通宝(760年)
  • 神功開宝(765年)
  • 隆平永宝(796年)
  • 富寿神宝(818年)
  • 承和昌宝(835年)
  • 長年大宝(848年)
  • 饒益神宝(859年)
  • 貞観永宝(870年)
  • 寛平大宝(890年)
  • 延喜通宝(907年)
  • 乾元大宝(958年)

※すべて中央に正方形の穴の開いた円形方孔、右回りに4字が鋳出されている。

その後の銅銭の行方

畿内を中心に使用されたこれらの銅銭だが、やがて材料不足などにより発行数が減少、質も低下していく。信頼を失った銅銭はだんだん利用されなくなっていった。987年には、80人の僧侶が7日間にわたって流通を祈願したという記録もあるが、朝廷の弱体化もあり、958年の「乾元大宝」を最後に皇朝銭は発行されなくなってしまう。

代わって利用されたのは、物品貨幣としての米や絹だ。そして、12世紀になり経済が発達すると、宋銭、明銭などの輸入銭が利用されるようになる。次に日本で公式に鋳造された銅銭と出会うためには、皇朝十二銭の600年以上後、江戸時代の「寛永通宝」まで待たなくてはならない。

参考資料

  • 三上 喜孝著「日本古代の貨幣と社会」吉川弘文館
  • 「読める年表 日本史」自由国民社
  • (WEBサイト)七十七銀行CYBER金融資料館
  • (WEBサイト)貨幣博物館ホームページ...ほか

※記事内容はとくに記述のあるものを除いて、2006年6月12日現在のものです。

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