知っておきたい!健康と医療 今月のテーマ『体力・運動能力がアップする子どもの食事』

近年、子どもの体力や運動能力低下の原因は、外遊びの機会が少なくなったり、生活の利便化によって日常生活の中で身体を動かす機会が少なくなったりしたからである、と言われています。
子どもたちの健やかな成長には、運動・食事・睡眠が大切で、このバランスが保たれてこそ健全なからだが養われます。
成長期の子どもは、毎日の生活に必要なエネルギーに加えて、成長分のエネルギーをプラスする必要があり、部活動や習い事で運動をしている場合は、運動量を考慮して食事量を増やしたり、摂るタイミングをはかる必要があります。
今回は、体力・運動能力がアップする子どもの食事についてご紹介いたします。

体力低下の原因

子どもが運動不足になっている直接的な原因として、外遊びやスポーツをする時間が少なくなっていること、遊び場が少なくなっていること、遊び仲間が少なくなっていることがあります。子どもを取り巻く環境を十分に理解し、積極的にからだを動かす機会を作っていく必要がありそうですね。

子どもの年代別の発達とは

年齢と共に、発達する部位が異なります

<プレゴールデンエイジ>5歳から8歳

この年代は神経系が発達する時期です。たとえば、この時期に覚えた動き(自転車の乗り方や泳ぎ方など)は、消えずに残ります。ですので、様々な動きを体験し体の基礎をつくると良い時期です。

<ゴールデンエイジ>9歳から12歳

神経系の発達がほぼ完成に近づく年代です。この時期は、スポーツに実践的な技術を身につけるのには最適です。また、物事を短時間で覚えることができる時期ですので、この時期に基礎を身につけるような運動を取り入れるとよいでしょう。またスピードや筋力は未発達なので、技術的な運動を取り入れるとよいでしょう。

<ポストゴールデンエイジ>13歳から15歳

成長により、骨格や筋肉のバランスが変わることで、今までできたことができなくなったり、技術の習得に時間がかかることがあります。成長のスピードに差があるため、個人差を考慮することが大切です。また、筋肉が発達するので、スピード感が高められる時期でもあります。

発達に応じた運動能力がアップする食事

食べたもので体は作られます。
成長に応じた適切な食事をすることで、体力・運動能力のアップに繋がります。

① 食事量をしっかりと

この時期に、必要なエネルギー量を十分にとる必要があります。
エネルギー不足は、成長が促されず、運動をしても筋力アップにつながりません。

<各年代のエネルギーの食事摂取量>

(kcal)

性別 男性 女性
※身体活動レベル
1~2(歳) 1000 900
3~5(歳) 1300 1250
6~7(歳) 1350 1550 1700 1250 1450 1650
8~9(歳) 1600 1800 2050 1500 1700 1900
10~11(歳) 1950 2250 2500 1750 2000 2250
12~14(歳) 2200 2500 2750 2000 2250 2550
15~17(歳) 2450 2750 3100 2000 2250 2500
  • 身体活動レベル
    Ⅰ:生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
    Ⅱ:座位中心だが、学校や家での移動や立位での作業等、あるいは通学(園)・買物、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
    Ⅲ:移動や立位の多い生活の場合。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合

② 主食主菜副菜をあわせて、乳製品と果物をプラス

毎食必ず、主食(ごはん・麺・パン)と主菜(メインのおかず)と副菜(野菜中心のおかず)をそろえた食事になるようにします。ごはんだけ、パンだけなど単品で摂るよりも、おかずとあわせて摂ることで栄養素の吸収が高まり、代謝がスムーズになり、エネルギーになり、筋肉になるのです。

③ 成長に基づいた栄養素の補給

成長の時期により、必要な栄養素が異なります。
身長が伸びていたり、骨格ができる時期にはカルシウムやマグネシウムが必要です。カルシウムは牛乳などの乳製品に、マグネシウムは大豆製品に多く含まれます。
筋力がアップしてくる中学生以降は、たんぱく質が不足しないように気をつけます。
また、思春期は、鉄不足から貧血症状が現れる子どもが多いので、鉄が多く含まれるレバーや牛肉、あさりなど、積極的にとるようにしましょう。

食事・睡眠・運動の生活習慣の乱れは、子どもの成長を妨げると同時に、体力気力の低下に繋がります。
日常生活を振り返り、環境を整えて、適切な食事と共に、生活リズムを作っていきましょう。

●東京海上日動メディカルサービス 発行

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