知っておきたい!健康と医療 今月のテーマ『便秘のセルフケア』

春は入学や入社、異動など環境がかわりやすい季節です。
緊張状態が続いてストレスを感じたり、ライフスタイルが変ることで腸内環境が悪化し便秘を引き起こしたりすることがあります。
今回は、便秘のセルフケアについてご紹介いたします。

便秘とは?

便の水分量が少なく硬くなった状態で、排便に困難を伴う場合をさします。排便が毎日でなくても、不快感がなければ便秘とはいいません。しかし、体内に便がたまった状態では、腸の動きが悪くなります。
また、大腸の病気によって便秘がおこる場合があります。症状が続く場合は、一度医師の診断を受けておくと安心です。

便秘の原因

ストレスに加えて、食物繊維や水分の不足により、便秘になりやすくなります。また、食事内容が洋風化し、和食に多く利用される発酵食品の摂取が少なくなっている影響もあるでしょう。
さらに、今の時期は、気温の上昇による発汗量の増加により、水分の排泄が懸念されます。排泄された分の水分補給が十分でなければ、特に体内の水分量が多い子どもは、脱水や便秘の危険があります。熱中症予防そして脱水予防の観点からも、こまめな水分補給を心がけましょう。
そして、毎日の生活リズムを整えて、決まった時間に排泄習慣をつけることも大切です。

便秘の対策

腸内環境を整えて、排便のリズムを作るにはどうしたらよいのでしょうか。
具体的にご紹介いたします。

1)規則正しい生活を

規則正しい食生活や生活リズムは、排便を促します。食事時間や就寝時間を定め、決まった時間に排便ができるようにしましょう。空腹時間が長いほうが、朝食で体内に排便を促すスイッチが入りやすくなるため、夕食は寝る前4時間以内に済ませることがベストです。

2)食物繊維の多い食品を取り入れる

食物繊維の多い野菜や海藻、きのこや豆類などを積極的にとりましょう。野菜に関しては、大人の場合1日350g以上摂取することを勧められています。日本人の食事摂取基準2010年度版によると、食物繊維の目標量は男性19g以上女性17g以上となっています。しかし、平成24年度の国民栄養調査の結果では、全世代を通して不足している現状があります。
食物繊維は水溶性と不溶性に分かれ、それぞれ働きが異なります。

水溶性食物繊維 果物や海藻に多く含まれるペクチンやこんにゃくなどのマンナンなどがあり、水分を含むとゲル化するため、消化時間をゆっくりにしたり、糖質の吸収をよくする
不溶性食物繊維 ごぼうなどの繊維の多い野菜に含まれ、水分を吸収して膨張し、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を促進し排便を促す作用がある

水分を十分にとる

大人は、約1日2.5ℓの水分が必要といわれています。その内訳は、飲用水として1.2ℓ、食事から1ℓ、代謝水(体内に吸収された栄養素の代謝によって生じる水)0.3ℓが目安です。子どもの場合は大人と比較して必要な水分量が多いため、運動の前後や食事からこまめにとるように心がけましょう。

定期的な運動

幼い子どもの場合の便秘は、へその周りを時計回りにマッサージするとよいでしょう。
大人の場合、運動習慣が便秘の解消に役立ちます。
運動は腸の蠕動運動を促し、腹筋を鍛えます。腹圧が弱いと蠕動運動がうまく進みません。定期的な運動を心がけるとよいでしょう。

今回は便秘予防対策についてご紹介いたしました。
便秘は様々な状況が複合して発生します。バランスのとれた食事と規則正しい生活リズム、そして定期的な運動を心がけましょう。

●東京海上日動メディカルサービス 発行

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