2022年3月
現状、預貯金の利息は【 ① 】の涙です。 そんな中でも、安全・安心で高利息という話は絶対に【 ② 】 ! また、営業マンからの気軽な儲け話しは【 ③ 】になるだけで、終始【 ④ 】。気が付けば、損が重なり重度の【 ⑤ 】に。最後は何もかも【 ⑥ 】 最悪状態に。絶対に【 ⑦ 】呑みにしてはいけません。
運用は計画的に、自分に分かり易いものを、夫婦や家族で話し合う【 ⑧ 】で。 特に投資は、「長期」・「積立」・「分散」を心掛け、「応援の気持ち」で続けていけば、【 ⑨ 】と共に成果は、 【 ⑩ 】押しになることでしょう。
出だしの穴埋め文章は何?と思われたかもしれませんが、実は私が提唱している、「鳥シリーズ運用」のネタ文です。なぞかけを説くように、じっくり文章を読み、【 】内に鳥名を埋めて完成してください。
どうです、解けましたか?普通に書かれている文集よりも、冒頭の「鳥シリーズ運用」のように、少しユーモアを取り入れた方が、インパクトがあり、記憶に留められ、注意喚起にもつながる講師の心理作戦です。また、今回は、貯蓄や投資にも行動経済学や心理学が大きく影響していることを理解し、少しでもライフチェンジの近道になれば幸いです。
※【 】の答え: ①すずめ・②さぎ・③かも・④ほろほろどり・⑤がん・⑥からす・⑦う⑧おしどり・⑨とき・⑩めじろ
貯蓄が「できない」理由
将来の様々なライフイベントのために、お金を貯めておいたほうが良いとわかっているのに、なぜかその行動ができない。こんな思いを持っている人は、案外多いのではないでしょうか。その原因は1回目に紹介した「現在バイアス」にあります。人間の心理は、将来よりも今の方が圧倒的に大事なので、今の誘惑を優先してしまうからです。
あなたは次の選択のどちらを選ぶでしょうか?
A:今すぐ100,000円もらえる
B:1ヶ月後に103,000円もらえる
利息は“スズメの涙”の中、運用リターンが年率3%もあれば非常に優秀です。質問では月率3%でBは超優秀なリターンですが、それでも「A:今すぐ100,000円もらえる」を選びたくなりませんか?人間は理論値以上に現在の利益を優先しがちになります。
※我慢して1ヶ月後の103,000円を選んだ人は、しっかり運用を心掛けた賢明な人と言えるでしょう!!
では、次の選択ではどちらを選ぶでしょうか?
A:2年後に100,000円もらえる
B:2年と1ヶ月後に103,000円もらえる
先ほどの問題と同じで、1ヶ月経つと貰える金額が3,000円増えますが、違いは「今の話」か「2年後の話」かです。
今度はほとんどの人が「B:2年と1ヶ月後に103,000円もらえる」を選ぶでしょう。もはや2年後となると、その先の1ヶ月なんて気にもしなくなります。「今すぐ得られる」と「1ヶ月後に得られる」には、嬉しさに大きな差がありますが、「2年後」と「2年と1ヶ月後」では、嬉しさにほとんど差がなくなってしまいます。実はその気持ちは期間が長くなればなるほど大きくなります。つまり「近い将来なら待てないが、遠い将来なら待てる」のです。行動経済学では、この心理を「双曲割引」と呼びます。
貯金が「できる」方法
しっかり貯蓄ができる方法は?よく質問されることですが、答えはズバリ「現在バイアス」を抑えて、「収入-貯蓄=支出」作戦です。自分の意思なしでコツコツお金が積み立てられる、給料天引きの財形貯蓄や自動積立などを活用することです。毎月定額を自動的に引き落とされる、「先取られ貯蓄」を習慣付けることで「双曲割引」が働きます。くれぐれも生活苦にならない、良い加減の金額が大事です。
専門家に任せる投資
貯蓄だけでは利息がほとんど付かないのに、投資をしない人に理由を尋ねると、最も多いのは「損をすることが不安」です。まさに1回目で説明した「プロスペクト理論:人は損を避けたがる」が投資にも当てはまります。しかし、過去のデータから「長期」・「積立」・「分散」を心掛ければ、良き運用成果が発生しているのも事実です。不安を和らげるには、専門家が運用してくれる「投資信託」が注目です。
「税優遇支援制度」を利用
現在、政府は「投資信託」を対象商品とした、「税優遇支援制度」を設けています。将来の資産形成のために、利益などが非課税になる“つみたてNISA”や、老後資金作りのため、長期的に出金はできないが、掛け金が全額所得控除などになる“iDeCo”の利用をお勧めします。少額の投資信託を定期的に積立てながら長く保有する、「双曲割引」の効果が抜群で、リスクを抑えた運用ができる可能性があります。
株式投資家の特長
株式投資をしている人の特長は、
- 損を避けたい心理から、少し値上がると安心感を得るため売り急ぎ、その後の大きな収益が手に入れられない。
- 値下がりし始めた時が最も精神的苦痛が大きく、損切りをしないといけないと思いながら、傷つきたくないという意識が働き、なかなか損切りができない。
- 値下がりが始まったときより、どんどんと損失が拡大していくと、もうどうでもよくなり、逆に損への苦痛は小さいくなって、気が付けば売りどきを逃し、「塩漬け株」が生まれている。
以上の投資行動も「プロスペクト理論」です。
「塩漬け株」の評価損失額が大きくなると、その他の運用を頑張ったとしても、なかなかフォローができなくなるので、何パーセント下がれば損切りするか、「塩漬け株」を出さないルールが必要です。
まとめ
行動経済学や心理学について、まだまだ説明したいことだらけですが、言えることは、普通、人間は生まれてこの方、見聞きしてきたコトが蓄積され、「楽をしたい・楽しみたい・苦痛から逃れたい」という本能と結び付き、無意識のうちに行動基準ができあがっています。
「欲しい!・したい!」の心理効果を意識的にコントロールするのは容易ではなく、実情は、非合理的だらけが人間らしいのです。このことを理解しながら、まずは、日々の生活の中で、見直す必要がある不合理な行動を、少し意識することから始めましょう。
私も目指すは、日々合理的経済人? いざ【 ① 】!(笑)
- 須原 光生(すはら・みつお)
- 金融・投資 教育コンサルタント&FP&個人投資家。
元 日本証券業協会 証券教育広報センター関西支部長。ライフプラン・資産運用・相続、贈与・教育費等々の講演会・研修会の講師として活躍中。講師の経験に基づく「身近で、描ける」講演は説得力を増し、オンラインでも「笑いを忘れず、元気が出て、前向きになる!」マジカル話術と大好評。 笑顔満載!お金・身体・心もハッピーライフを提唱。ならどっとFM “先生`s cafe”に出演中。NPO法人日本FP協会 近畿副ブロック長。一般社団法人終活カウンセラー協会会員