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第2回

新NISA口座を開設する金融機関どうする?金融機関の選び方のポイントを解説

コープ共済について

2024年10月

新NISAを始めるには、証券会社や銀行などにNISA口座を開く必要があります。新NISAは1人1口座しか持てません。利用する金融機関を後で変更することもできるのですが、手間も時間もかかります。ですから、最初から自分に合った金融機関を選びたいものです。
今回は、新NISAの金融機関選びのポイントについて解説します。

新NISA口座を開設する金融機関を選ぶ3つのポイント

新NISA口座を開設する金融機関を選ぶにあたって、まず次の3つのポイントを押さえておきましょう。

①自分の欲しい商品が購入できるか

つみたて投資枠で投資できる投資信託は、金融庁の基準を満たしたもののみですが、実際に投資できる投資信託は、金融機関によってラインアップが異なります。ネット証券などでは大多数の投資信託を扱っているのに対し、店舗の銀行や証券会社では商品を数本程度に絞っていることもあります。また、銀行では、株式やREIT、ETF(上場投資信託)などへの投資はできませんから、これらの商品にも投資をしたいなら、銀行ではなく、証券会社が候補になります。
投資を始めたばかりの時は、投資信託だけ買えれば良いと思っていても、投資に慣れたり、資金に余裕が出てきたりすると個別株などへの関心が高まることもありますから、最初から選択肢を広げておいた方がベターといえます。

②サイトやアプリが使いやすいか、サービスが充実しているか

各金融機関にはウェブサイトやアプリが用意されており、さまざまな情報をチェックできます。また、入出金や売買などもスマホでできるようになっています。金融機関によっては本来有料の情報を無料で提供しているところもあります。使いやすいサイト・アプリになっていれば、投資もはかどります。
また、金融機関のなかには、投資しながらポイントが貯められるところもあります。クレジットカードでつみたて投資枠の商品を購入する「クレカ投資」を利用すれば、クレジットカードのポイントが貯められます。また、投資信託を保有することでポイントが貯まる金融機関も。資産運用によってお金が貯まるだけでなくポイントまで貯められるのですから、ダブルでお得といえます。

③手数料が安いか

投資にかかる手数料は、金融機関によっても異なります。つみたて投資枠での売買手数料はどの金融機関でも無料ですが、成長投資枠の場合は金融機関によって異なります。主なネット証券では、新NISAを利用した投資の売買手数料を無料にしています。
また、投資信託を保有する間にかかる手数料である信託報酬の安い商品が揃っているかは重要です。

加えて、以下の点もチェックしましょう。

毎月積立よりも細かな頻度で積立ができるか
→「毎週」「毎日」積立に対応している金融機関も。検証すると累積リターンは「毎月」と大差はありませんが、積立頻度が細かいほうが有利です。
米国株・米国ETF(上場投資信託)が充実しているか
→日本株への投資はどの証券会社でも大差はありませんが、米国株・ETF(上場投資信託)の取扱数は金融機関によって大きく異なります。たくさん取り扱っている金融機関のほうがベターといえます。
少額から投資できるか
→つみたて投資枠では毎月100円から積立投資ができる金融機関もあります。成長投資枠の株式投資では、通常100株単位で取引する日本株を1株単位で購入できる「単元未満株」サービスがあれば、少額でいろいろな株を買うことができます。

おすすめは大手ネット証券

以上の点を踏まえると、おすすめはネット証券。具体的には、SBI証券・楽天証券・マネックス証券の3社が候補になります。

図表 <SBI証券・楽天証券・マネックス証券の比較表>

(株)Money&You作成

表からもわかるように、SBI証券・楽天証券・マネックス証券ともつみたて投資枠対象商品や米国株を多数扱っています。日本株・米国株・単元株の取引手数料も無料ですし、日本株を1株単位で買える単元未満株の取引もできます。投資信託を保有している間ポイントが貯まるサービスもあります。

また、クレジットカードで投資信託の積立購入ができ、クレジットカードのポイントを貯めることができます。

楽天証券では、楽天カードでの積み立てでポイント還元率は0.5%〜1%。一般カードの場合、低コストの投資信託では、ポイント還元率は0.5%になります。貯まるのは楽天ポイントのみです。

SBI証券では、三井住友カードなどで積み立てができ、Vポイントが貯まります。積み立て以外でも取引に応じてポイントが貯まりますが、PayPayポイント、Pontaポイント、JALマイルなどが選べます。三井住友カードの一般カードではポイント還元率が最大0.5%ですが、ゴールドカードでは最大1%、プラチナプリファードでは、最大3%と、還元率が高くなります。

マネックス証券では、マネックスカードのほか、dカードでの積み立ても可能で、ポイント還元率は最大1.1%と、他と比べて高めです。

普段自分が利用している経済圏と相性の良いネット証券を選ぶと良いでしょう。

NISA口座の金融機関の変更の手続きは?

既にNISA口座を開設していて、金融機関を変更したい場合、NISA口座は、年に1度まで金融機関を変更することができます。

NISA口座を開設している金融機関に金融機関を変更することを伝えると、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」という書類が届きます。この書類を変更先の金融機関で口座開設を行う際に必要な書類とともに提出すると、金融機関の変更が完了します。

ただし、変更ができるのは、その年の最初の取引を行う前のみで、1回でも取引をしていればその年には変更ができません。変更の手続きは変更したい年の前年10月1日から変更することができます。

金融機関を変更したい場合には、上記の注意点を踏まえて、早めに手続きをするようにしましょう。

高山 一恵(たかやま・かずえ)
(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。
一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やチャンネル登録者2万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営。著書は『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版) 『はじめてのお金の基本』(成美堂出版)など著書累計160万部超。

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