FPによる知って得する!くらしとお金の話

第3回

FP知識の活かし方③ FPはライフプランに始まりライフプランに終わる

コープ共済について

2025年9月

みなさんこんにちは。ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者)の金田浩一です。FP専門校のFPK研修センターに勤務しています。FP教育に携わって20年以上の月日が流れました。

これまでFP知識を実生活に関連させていく例として、みなさんに身近な高額療養費や住宅ローン控除のポイントを整理してきました。

今回はFPの根幹となるライフプラン、ライフデザイン、ファイナンシャル・プランニングについて考えてみたいと思います。

FPの2つの意味

FPという言葉をよく耳にされると思いますが、一般的に「ファイナンシャル・プランナー(Financial Planner)」を指す略語として使われていると思います。ですが、FPには、もう一つ別の略語として意味があります。それは、「ファイナンシャル・プランニング(Financial Planning)」の略語であるということです。

「FP的に考えると」という言葉を使う場合、「ファイナンシャル・プランナーとして考えると」、と「ファイナンシャル・プランニング的に考えると」の双方の意味合いが含まれていると考えられます。

このファイナンシャル・プランニングとはライフプラン(生涯人生設計)に基づいた資金計画のことを表します。ライフプランとは個々人のライフデザインに基づいた生涯人生設計であり、そのライフプランを実現するための資金計画がファイナンシャル・プランニングということになります。そしてファイナンシャル・プランナーは「ファイナンシャル・プランニングの専門家」と呼ぶことができるでしょう。

ライフプランとライフデザイン

上述のライフプランとは 「個々人が持つ夢や希望、目標などの実現を目指すための行動計画であり、個々人が望む人生を送るための生涯生活設計」と定義することができます。

私たちは日常において不安のない日々を過ごしたい、満足感や充実感を感じられる人生を送りたいと考えています。そして、日々の生活において様々な場面に遭遇し、その都度、私たちは数ある選択肢の中からある1つを選択して次の行動に移るという行為を繰り返しています。どの選択肢を選ぶかは、意識して行うこともあれば、意識せずに行っている場合もあります。この選択・決定の基準となっているものが、その人が持っている価値観と考えることができます。この価値観に基づいて、将来の生き方や方向性を構想したものをライフデザインと呼んでいます。

このライフデザインを具体的な暮らし方に置き換えて作り上げたものがライフプラン(生涯生活設計)となります。明確なライフデザインがライフプランを決定づけます。このライフプランの舞台となるのは、人生の目的を実現していく日常の場であり、仕事だけではなく家庭生活や地域生活、趣味、そして文化などを含めた総合的な世界となります。

ライフプランの3つの領域

ライフプランには、よりよく生きるための「生きがい」をプランする領域とそれを支える「健康」、「生きがい」を実現するための「経済」という3つの領域があります。これらが三位一体となって、はじめてライフプランが実現できるのです。その「経済」の領域を担うのがファイナンシャル・プランニングということになります。

生きがい(心) 自分の楽しみ、夫婦・親子など家族の絆や思い、仕事上の働きがいや充実感、地域活動やボランティア活動など
健康(体) 肉体的健康・精神的健康
経済 ファイナンシャル・プラン(マネー・プラン)の世界
生きがいを中心にしたライフプランを実現する(目的)ためにファイナンシャル・プラン(手段)がある
※人間の幸福や豊かさ、やすらぎは、「生きがい(こころ)・健康・経済」が三位一体となって初めて成就する→「愛と勇気と健康とサムマネー(some money)」

ファイナンシャル・プランニングの目的

ファイナンシャル・プランニングの究極の目的はライフプランの達成・実現にあります。ファイナンシャル・プランナーが行うプランニングやアドバイスは、単により有利な資産運用や節税対策などにとどまるものではなく、その大前提として、個々人のライフプランが存在している必要があります。目先の資金(=お金)の損得だけに着目するのではなく、ライフプランの達成・実現に基づいた資金計画でなければなりません。「FPはライフプランに始まりライフプランに終わる」といわれる所以です。

また、ファイナンシャル・プランニングは、プランニングを実行することによって最終的に安心感を提供するとものでなければなりません。豊かな暮らしには、いくらかのお金(=some money)が必要です。

全くお金がなければ生活はできません。生活できなければ、安心感は生まれません。ただし、私たちはあくまでも「お金が主役ではなく道具」だということを忘れてはいけません。主役は個々人の生活であり、お金はその目標・目的の達成や豊かさを実現するための道具としての位置付けになります。そして、「お金」はそれを使ってはじめて、その価値を発揮するものであり、ファイナンシャル・プランニングとは、ライフプランの達成・実現にむけたお金の使い方を計画するものともいえるでしょう。

本来、FPの知識や考え方は皆さんが日々過ごしている実生活に則したものです。FPの知識や考え方について理解を深めることよって、ライフプランの達成・実現にむけた資金計画を実生活に取り入れ、より豊かな充実した暮らしを実現することに役立てていただければと思います。FPの知識を上手く活用して、お金に関して不安のない暮らしを実現しましょう。

金田 浩一(かねだ・こういち)
ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者、1級FP技能士)。大阪府出身。
大阪教育大学卒業後塾講師を経て、2003年にFP専門校FPK研修センター(株)に入社。大阪事業部にて、主にファイナンシャル・プランナーの養成講座および継続研修等の企画運営・講師やFPテキスト・問題集等のFP教材の編集・執筆など、20年以上FP教育に携わっている。受講生の合格をサポートすべく日々業務にあたっている。

「知って得する!くらしとお金の話」コラム 一覧はこちら

こちらもおすすめ

サイドメニュー