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第3回

自由度が高いNISAの「成長投資枠」とは? 自分に合った使い方を考えよう

コープ共済について

2026年6月

第2回では、NISAの「つみたて投資枠」についてお伝えしました。毎月一定額をコツコツ積み立てる仕組みは、投資初心者でも始めやすく、家計の延長で資産形成を考えやすい方法です。

一方、NISAにはもうひとつ「成長投資枠」という枠があります。名前だけを聞くと、「大きく増やしたい人向け」「投資に慣れた人向け」と感じる方もいるかもしれません。しかし実際には、成長投資枠は投資できる商品の幅が広く、自分の考えに合わせて使いやすい枠です。

成長投資枠も、運用で得た利益が非課税になる点は同じです。1年間で投資できる上限は240万円、生涯で使える非課税保有限度額は全体で1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円までとされています。積立もできますし、まとまった金額を一度に投資(スポット購入)することもできます。

成長投資枠ではどんなものに投資できる?

成長投資枠の特徴は、投資対象が幅広いことです。主な対象を具体的に整理すると、次のようになります。

<成長投資枠で投資できる主な対象>

投資対象 特徴 向いている人
投資信託
  • 1本で複数の資産に分散投資しやすい
  • 運用は専門家に任せられる
  • まずは無理なく始めたい人
  • 分散を重視したい人
ETF
  • 上場している投資信託
  • 株式のように売買できる
  • 投資信託より選択肢を広げたい人
  • コストも意識したい人
上場株式
  • 企業ごとの個別株に直接投資できる
  • 値上がり益や配当、優待が期待できる
  • 応援したい企業がある人
  • 企業(銘柄)選びに関心がある人
REIT
  • 不動産に間接的に投資する商品
  • 値上がり益や分配金が期待できる
  • 不動産にも関心がある人
  • 値上がり益以外の収益(分配金)にも関心がある人

このように、成長投資枠ではさまざまな商品を選ぶことができます。選択肢が多いことは魅力ですが、その分、それぞれの特徴を理解して選ぶことがとても大切です。

~投資信託とは~

まず「投資信託」は、多くの人のお金をまとめて、株式や債券などに分散して運用する商品です。1本で複数の資産に分散しやすく、運用は専門家が行うため投資経験が少ない方でも取り組みやすいのが特徴です。

また積立だけではなく一括で購入することもできるので、例えば「毎月の積立はすでにしているけれど、ボーナスの一部を追加で運用したい」という場合、成長投資枠で投資信託を買い増す、という使い方も考えられます。

~ETFとは~

「ETF」は、上場している投資信託です。投資信託と同じように分散投資しやすい一方で、株式のように市場で売買されます。ニュースでよく目にする株価指数に連動する商品も多く、仕組みが比較的わかりやすい商品もあります。

たとえば、「投資信託には慣れてきたので、もう少し選択肢を広げたい」という方にとっては候補になるでしょう。

~上場株式とは~

「上場株式」は、企業ごとの個別株に直接投資する方法です。応援したい企業を選べたり、配当金や株主優待を受け取れたりするのが魅力です。

たとえば、普段よく利用しているスーパーや通信会社、身近な飲食店や日用品のメーカーなど、「この会社は今後も必要とされそう」と感じる企業に関心を持つ人もいるでしょう。ただし、企業ごとに業績や株価の動きは大きく異なるため、投資信託よりも価格変動の影響を受けやすい側面があります。

~REITとは~

「REIT」は、不動産に投資する商品です。自分で不動産を買うのはハードルが高くても、REITを通じて間接的に不動産に投資することができます。分配金が期待できる点に関心を持つ方も多く、足元のJ-REIT市場では、平均的な分配金利回りの予想はおおむね4%〜5%前後がひとつの目安です。ただし、利回りは価格や物件の状況によって変わるため、利回りだけで判断しないことも大切です。(※一般社団法人不動産証券化協会(ARES)公表資料より。平均予想分配金利回り2025年3月末5.08%、2026年3月末4.90%。)

選べるものが多いからこそ、「自分に合うか」が大切

成長投資枠の魅力は、投資対象が幅広くスポット購入ができるため選択肢が広いことです。

たとえば、毎月の積立はつみたて投資枠で続けながら、ボーナスの一部を成長投資枠で運用する、または定期預金の一部を将来に向けた長期の資産形成に活用する、といった使い方も考えられます。

また、「株主優待を受け取りたい」「よく知っている企業を少し応援してみたい」といった気持ちに応えやすいのも成長投資枠です。投資というと難しく感じがちですが、必ずしも最初から複雑なことをする必要はありません。普段の生活の中で接している商品やサービスから関心を持つことで、投資先を考えるきっかけにするのも一つでしょう。

ただし、自由度が高いことはメリットである一方、注意点でもあります。選択肢が多い分、「何を買えばいいのかわからない」と迷いやすくなりますし、話題性だけで選ぶと値動きに振り回されやすくなります。

NISAは利益に税金がかからない制度ですが、損失が出ない制度ではありません。「非課税だから安心」ではなく、「商品の特徴を理解して選ぶ」ことが大切です。

初心者にとって現実的な使い方は?

成長投資枠というと、「何か特別な商品を買わなければいけない」と思うかもしれませんが、そうではありません。初心者の方であれば、最初から個別株に絞るのではなく、まずは分散の効いた投資信託やETFなどから検討するのも現実的です。なお成長投資枠では、つみたて投資枠の対象となっている商品にも投資できます。

「積立を土台にしつつ、余裕資金の範囲で少し投資対象を広げる」という考え方で十分です。

たとえば、

  • 毎月1万円の積立は続ける。
  • ボーナス月だけ2万円か3万円を追加する。
  • 最初は1社に集中せず、分散された商品(投資信託等)を選ぶ。

このような始め方でも、十分に現実的な活用方法といえます。

さらに、年間240万円の枠があるからといって最初から使い切る必要はありません。生活費や急な出費に備えるお金を確保し、無理のない範囲で使うことが前提です。投資は、家計を圧迫してまで行うものではありません。

成長投資枠は、「積立だけでは物足りない人のための特別な制度」というより、自分に合った選択肢を増やせる制度と捉えるとよいでしょう。使いこなそうと気負う必要はなく、まずはシンプルな商品から始めて、少しずつ理解を深めていくことがおすすめです。

NISAは注目されている制度ですが、大切なのは制度の枠を全部使うことではなく、無理をせずに納得して続けられる形で活用することです。

つみたて投資枠で土台をつくり、必要に応じて成長投資枠で活用の幅を広げる。そう考えると、NISAが特別な人のための制度ではなく、日々の生活の中で無理なく活用できる制度として見えてくるのではないでしょうか。

<参考URL>

REITの平均予想分配金利回りの引用元は下記からです。

https://www.ares.or.jp/action/monthly/pdf/ares_monthly_report_202504.pdf

https://www.ares.or.jp/action/monthly/pdf/ares_monthly_report_202604.pdf

肥後 知歩(ひご・ちほ)
ファイナンシャルプランナー。
家計管理や資産運用をテーマに、セミナー講師やコラム執筆を行う。
会社員時代にマネーリテラシーの重要性を実感したことをきっかけに、ゼロから金融知識を学びFPに転身。
中立的な金融教育機関や証券会社系の投資教育プログラムでも講師を務め、企業従業員向けセミナーや高校・大学での出張授業など、幅広い世代に向けて「わかりやすく、実践しやすいお金の知識」を伝えている。

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