2026年8月
大学等の進学には多額の費用がかかり、たとえば私立大学に進学すると、授業料や設備費等の学校への支払いだけで、通常年間100万円を超えます。加えて通学費や生活費もかかり、家計を大きく圧迫します。
こうした状況のもと、2020年4月に意欲ある学生が経済的な理由で進学を断念することがないよう、「高等教育の修学支援新制度」が開始しました。
本制度は未来ある学生の夢の実現を支援する大切な制度ですが、複雑で注意点も多いため、全3回にわたり詳しく解説をしていきます。
1.高等教育の修学支援新制度の概要
高等教育の修学支援新制度の概要は以下のとおりです。
※詳細については順次解説いたします。
- 1支援内容は「授業料等の減免(授業料・入学金の減免)」と「奨学金の給付」がセット。
- 2授業料等の減免は進学する大学等が、給付型奨学金は日本学生支援機構がそれぞれ担当する。
- 3所得に応じた支援区分をベースに、授業料等の減免額や奨学金の給付額が決まる。
- 4申請時および採用後に設けられている「家計基準」と「学力基準」の要件を満たす必要あり。
- 52025年度からの多子世帯への支援が拡大し、世帯年収に関係なく授業料等は上限額が減免される。
例えば私立大学に進学する場合、減免額の上限は入学金26万円と授業料70万円(年額)、加えて給付される奨学金の上限額は自宅生の場合で月額38,300円(年額約46万円)、自宅外生の場合で月額75,800円(年額約91万円)となります。
私は大学などの進学費用の相談をかなり受けていますが、「本制度のお陰で子どもが希望する進路を実現できそう!」と安堵された相談者を何度も目にしてきています。
<進学費用を工面する手段のイメージ>
2.対象となる進学先
高等教育とは、「高校を卒業した後に進む、さらに専門的で高度な教育機関」のことを言い、高校卒業の進路の多くをカバーしています。
- (1)大学
- (2)短期大学
- (3)専門学校(専修学校の専門課程)
- (4)高等専門学校の4・5年生
※通信教育課程は対象、専攻科については要件を満たす専門学校と短期大学は対象
注意点
日本学生支援機構の返済が必要な貸与型の奨学金は、上記(1)~(4)の学校は通常対象となりますが、本制度については、上記(1)~(4)の学校のうち一定の基準を満たしていると認められた学校が対象となります。したがって、家計や学力の基準を満たしていても、進学する学校が本制度の対象外の場合、支援をうけることはできません。
本制度を利用する予定だったが、合格した学校が本制度を利用できないということ慌てて相談に来られた方もいますので、必ず受験前に学校に確認をしてください。
なお、文部科学省のサイトでも、対象となる学校を確認することができます。
3.申し込み方法
申し込み方法は3種類あります。採用される可能性がある方は、高校3年生の春に申請する「予約採用」での申し込みをお奨めします。予約採用は進学する前に採用結果がわかるため、計画的に資金計画をたてることができて安心です。
なお、進学後に生計維持者(通常は親)が死亡したり、事故や病気で就労不能となったり、地震や風水害等で被災したりした場合などは、随時「家計急変採用」にて申し込むことができます。
| 主な対象者 | 申請時期 | 窓口 | ポイント等 | |
|---|---|---|---|---|
| (1)予約採用 |
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進学前に確約するので安心 |
| (2)在学採用 | 大学や専門学校等の在学生 | 進学後の4月、10月 | 在籍する大学や専門学校等 | 進学後、申請を忘れずに! |
| (3)家計急変採用 | (2)の在学生で予期せぬ理由で家計が急変した者 | 進学後、随時 | 在籍する大学や専門学校等 | 家計急変事由が発生後3ケ月以内に申請要 |
※外国籍の方は永住者や定住者であるなど、所定の要件を満たしている場合、申し込みできます。
4.よくある質問
それでは、私が講演や個別相談において受ける「よくある質問」のうち、第1回目に関係するものを紹介いたします。
A.要件は同じなのでなります。ただし例外として、多子世帯の場合(第3回目のコラムにて解説)は、授業料等のみが減免され、奨学金は給付されないケースがあります。
A.本制度は「授業料等の減免」と「奨学金の給付」がセットですので、奨学金も給付されません。
A.「授業料」と「入学金」のみが対象です。したがって、授業料とは別に徴収されているものは減免されません。
A.いいえ、要件に該当すれば採用されます。
A.修業年限が6年間の学部に進学する場合、要件を満たせば6年間支援をうけることができます。なお、大学院については、現時点(2026年7月時点)では対象外です。
A.国費による給付金との併給は制限されますが、学校、自治体、企業の奨学金との併用に対しては、本制度としては通常制限はありません。ただし、もう一方の制度の方が本制度の支援を受ける場合には制限をしていることがありますので、ご確認ください。
== 参考 ==
- 本コラムは文部科学省の「高等教育の修学支援新制度のサイト」を参考に作成しております。
- 本コラムの情報は2026年7月時点の情報を基に作成しております。
- 下村 啓介(しもむら・けいすけ)
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FP Office Tomorrow 代表/株式会社全力講師 代表取締役
ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者、1級FP技能士)、住宅ローンアドバイザー
1972年生まれ。会計事務所に入社した冬、阪神淡路大震災に被災し、『お金で失う幸せ』がある事を痛感してファイナンシャルプランナーの道を目指す。
2007年にFP Office Tomorrowを設立し、会計事務所で培った分析力と20年超の実務経験を活かして各種マネー相談に従事。「お客様1人1人の人生に敬意をはらい、より良い未来づくりに寄り添うこと」を理念として活動中。
講師活動にも注力し、2014年には株式会社全力講師を設立。「人生を変える有意義な情報をわかりやすく、楽しく、熱く伝えること」をモットーに、高等学校での進学資金の講演や企業でのマネーセミナーなどを行い、登壇回数は2600回を超える。





