2026年9月
前回は、今の場所に住み続けるための方法として、リフォームと建て替えについてご案内しました。一方、暮らす場所を移すために、家の買い替えを考える人もいます。
買い替えでは、初めて家を買うときとは異なり、新しい家を買うだけでなく、今の家を売ることも考えなくてはなりません。そのため、何から手をつけたらよいのか迷う方が少なくないようです。今回は、「買い替え」についてご案内します。
売却後に手元に残るお金を把握する
買い替えの資金計画では、まず、不動産会社に査定を依頼するなどして、「売却予想額」を調べます。ただし、ここで一喜一憂しないでください。肝心なのは、「いくらで売れそうか」ではなく、「いくら手元に残りそうか」に目を向けることです。新居のために使えるのは、売却後に手元に残るお金だからです。
次に、「売るための費用」を見積もります。費用としては、不動産会社に支払う仲介手数料などのほか、戸建てであれば、必要に応じて土地の測量費用や建物の解体費用を見込んでおきます。住宅ローンが残っている場合は、ローン残高と抵当権抹消登記の費用も考慮しましょう。また、この段階では、引っ越しにかかる費用だけでなく、仮住まいの費用も見込んでおきたいものです。
こうした費用を売却予想額から差し引くと、手元に残るおおよその金額を把握できます。実際の取引においては、売却価格が想定よりも低くなったり、予定していなかった費用が発生したりすることがあります。資金計画の段階では、売却予想額は低めに、費用は少し余裕をもって見積もっておくことをおすすめします。
家を売って利益が出ると、原則として、課税の対象になります。相続した家で取得費がわからないなどの場合は、特に注意が必要です。税金の負担があれば、その分、手元に残るお金が減ります。あらかじめ税理士などの専門家に確認しておくと安心です。
買い替えの予算を決める
手元に残るお金がわかったら、次は、お金の振り分け方を考えます。手元に残るお金をすべて新居のために使うのではなく、これからの生活費を確保しておきたい人もいれば、けがや病気、介護などに備えるお金を厚くしておきたい人もいます。逆に、手持ちの資金を加えたり、住宅ローンを利用したりして、より希望に合う住まいを選びたい人もいるでしょう。
新居にどれだけのお金を使うかは、これからの収入や支出の見込み、保有資産、自分なりの優先順位などによって変わります。目安をつかむためには、「ライフプランシミュレーション」や「キャッシュフロー表」などを活用するのもひとつの方法です。インターネット上には、無料で使うことができるものが数多くあります。自分だけで判断するのが難しい場合は、ファイナンシャル・プランナーに相談するのもいいでしょう。
予算が決まったら、今度は、新居を購入するためのおおよその費用を見積もります。そのうえで予算から購入にかかる費用を差し引けば、無理なく買える家の価格帯が見えてきます。
忘れたくないのが、新調する家具やカーテン、引っ越しなどにかかる費用までを見積もっておくことです。そうしておかないと、手元に残すつもりだったお金を取り崩すことにもなりかねません。
資金計画を軸に買い替えを進める
買い替えを進めるにあたって大切なのは、必要なときに必要なお金を準備できるように、お金が出入りするタイミングを意識することです。
先に今の家を売却して、いったん手元にお金を確保してから新居を購入すれば、売却したお金をそのまま新居の購入資金にあてることができます。必要なときに必要なお金を準備しやすくなるだけでなく、売却価格が確定しているので資金計画もぶれにくくなります。ただし、一般的には仮住まいをすることになるため、仮住まい費用や引っ越し費用を多めに見積もっておく必要があります。
先に新居の購入を決めてから、今の家を売却する方法もあります。ただし、今の家を売る前に、新居の購入費用を準備しなくてはならないため、売却したお金に頼らずに購入資金を準備できる人に向く方法です。例えば、手持ちの資金で購入できる人や、住宅ローンで必要資金を無理なく調達できるといった人です。状況によっては、不動産会社による買い取りなどを利用することで、購入代金の支払いまでにお金を準備できるケースもあります。
買い替えの進め方には、それぞれメリットとデメリットがあります。「今の家を少しでも高く売りたい」「気に入った家を見つけたら諦めたくない」「仮住まいをしたくない」など、何を優先したいかは人によって異なります。それぞれの特徴をよく理解したうえで、選ぶことが大切です。
こうした一連の作業は、不動産会社などの専門家と相談しながら進めることが一般的です。自分の希望をしっかりと伝えて、その状況に合った方法を一緒に考えてくれる不動産会社や担当者を選ぶことも、安心して買い替えを進めるうえで欠かせません。
- 久谷 真理子(くたに・まりこ)
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(株)フリーダムリンク専務取締役
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者、公認不動産コンサルティングマスター
都市銀行において融資業務に従事。FPとして独立後、相続・不動産に関する相談業務および、実行支援業務を行っている。
NPO法人日本FP協会評議員。





