FPによる知って得する!くらしとお金の話

第2回

高等教育の修学支援新制度 ②

コープ共済について

2026年10月

前回のコラムでは高等教育の修学支援新制度の概要を解説いたしましたが、我が家が本制度を利用できるのか、また利用できる場合はどれぐらいの支援があるのかを知りたい方も多いと思います。そこで今回は、本制度の対象者を決める選考基準や、対象者となった場合の支援内容について解説していきます。

1.選考基準

選考基準には「家計基準」と「学力基準」があり、両方の基準を満たす必要があります。

(1) 家計基準 ・・ 以下の収入要件と資産要件を満たす必要があります。

① 収入基準

「進学する学生本人」と「生計維持者(通常は親)」の所定の期間の収入(支給額算定基準額)に基づき支援区分が判定され、その区分に応じた支援額となります。

支援区分 学生本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計
第Ⅰ区分 100円未満(学生本人と生計維持者の住民税の所得割が非課税)
第Ⅱ区分 100円以上25,600円未満
第Ⅲ区分 25,600円以上51,300円未満
第Ⅳ区分 51,300円以上154,500円未満

※支給額算定基準額 = 課税標準額×6% -(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)

住民税の課税証明書を取得して支給額算定基準額を試算する方法が、日本学生支援機構のWEBサイトで案内されています。

住民税の課税証明書からの確認が難しい場合は、日本学生支援機構のサイト内の進学資金シミュレーターに家計の情報等を入力すると、精度の高い判定結果を確認することができます。

もし、本制度の適用を受けられるか微妙な場合、念のために申請することをお奨めいたします。

Point!

日本学生支援機構の貸与型の奨学金は、生計維持者(通常は親)の収入のみで判定されますが、本制度では学生本人の収入も加えて判定されます。したがって、学生本人のアルバイトなどの収入が多い場合、支援額が減少する(なくなる)可能性もあります。

② 資産基準

申し込み時点の「進学する学生本人」と「生計維持者(通常は親)」の資産額の合計が5,000万円未満であることが要件です。

※多子世帯(扶養する子が3人以上)の場合、給付型奨学金は5,000万円未満だが、授業料等の減免は3億円未満が要件。

<対象資産の例>

資産の対象となるもの 現金やこれに準ずるもの、預貯金、有価証券や投資信託など
資産の対象とならないもの 土地や建物、貯蓄型の保険(個人年金、終身保険、学資保険など)

(2) 学力基準

申請時期によって異なる以下の基準を満たす必要があります。

申し込み方法
(申請時期)
学業成績等における主な基準
※①~④のいずれかの要件を満たしていれば可
予約採用 ① 申込時までの評定平均が3.5以上であること
② 大学等における学習に意欲があること
在学採用
(入学後1年経過前)
① 高校時代の評定平均が3.5以上であること
② 入学試験の成績が、上位1/2の範囲内であること
③ 高卒認定試験(旧 大検)の合格者であること
④ 大学等における学習に意欲があること
在学採用
(入学後1年経過後)
① GPA等が在学する学部等における上位1/2の範囲内であること
② 大学等における学習に意欲があること

Point!

それぞれの要件に「大学等における学習に意欲があること」という要件があるため、評定平均やGPAの要件を満たさない場合の救いとなっています。

2.支援金額

収入基準によって判定される支援区分に応じて、支援金額が決まります。なお、第Ⅰ区分の支援金額が上限金額(満額)となり、区分があがるごとに支援金額が減る仕組みです。

(1) 授業料等の減免

① 第Ⅰ区分における授業料等減免の上限額(満額)※下表は年額

② 第Ⅳ区分(理工農系)における授業料等減免額

Point!

授業料等が割高になる私立の理工農系の学部に進学する第Ⅳ区分の家庭に対して、文系学部との授業料の差額相当が減免されます。

(2) 奨学金の給付

① 第Ⅰ区分における奨学金の給付の上限額(満額)※下表は年額(毎月の給付奨学金×12)

3.よくある質問

それでは、私が講演や個別相談において受ける「よくある質問」のうち、第2回目に関係するものを紹介いたします。

Q1.収入基準において住民税非課税の世帯が第Ⅰ区分とありますが、均等割の非課税、所得割の非課税、いずれの事でしょうか?

A.本制度における非課税は、住民税の「所得割」です。したがって、扶養家族する家族の人数などが算定する所得に影響します。

Q2.生活保護世帯で各種扶助を受けていても本制度の対象になりますでしょうか?

A.要件を満たせば対象となります。

Q3.本制度に採用された場合、入学金や授業料(半期分)の減免額を控除した金額を進学する大学等に納めることになるのでしょうか?

A.学校によって対応が異なりますので、進学する学校に問い合わせて下さい。一旦支払って、進学後に減免額が支給される前提で試算をしておくと安心です。

== 参考 ==

下村 啓介(しもむら・けいすけ)
FP Office Tomorrow 代表/株式会社全力講師 代表取締役
ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者、1級FP技能士)、住宅ローンアドバイザー
1972年生まれ。会計事務所に入社した冬、阪神淡路大震災に被災し、『お金で失う幸せ』がある事を痛感してファイナンシャルプランナーの道を目指す。
2007年にFP Office Tomorrowを設立し、会計事務所で培った分析力と20年超の実務経験を活かして各種マネー相談に従事。「お客様1人1人の人生に敬意をはらい、より良い未来づくりに寄り添うこと」を理念として活動中。
講師活動にも注力し、2014年には株式会社全力講師を設立。「人生を変える有意義な情報をわかりやすく、楽しく、熱く伝えること」をモットーに、高等学校での進学資金の講演や企業でのマネーセミナーなどを行い、登壇回数は2600回を超える。

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